ゆっるい数学ノート

適当に数学のことを書いてます

ユークリッド整域⇒単項イデアル整域

ユークリッド整域⇒単項イデアル整域だという事実を本で見たが、証明が略されていたので証明を与えました。


まずはそれぞれの定義の確認。


ユークリッド整域

イデアルIの元 a,b (b≠0) について、

a = bq + r

を満たすq,r ∈ R が存在し、さらにこれらは以下の条件を満たす。

r=0 または φ(r) < φ(b)


(ここで、φは関数とは限らず、ある対応のことを指す。全単射のようなものと考えて良いかもしれない)


単項イデアル整域

環Rについて、I⊆Rとする。

任意のイデアルIが、

I = aR  (a∈R)  と表される。


語弊のないよう述べておくが、ここで、aRとはaにRの全ての元をかけて得られる集合のことを言う。厳密には、

aR = {a・r_i | r_i ,a∈R (i = 1,•••,k) }

...で良いのか、、な?



では、早速証明に移ろうではないか。

(証明)

Iをイデアルとする。仮定よりこれはユークリッド整域である。φ(b)が最小となるようなbについて考えても、任意のIの元aに対し、

a = bq + r  (r = 0 または φ(r) < φ(b) )

と表せる。ここで r≠0 とすると、

φ(r) < φ(b)となり、φ(b)が最小であることに矛盾する。よって r = 0 である。即ち

a = bq である。ここでq∈Rより、

I = aR  (a∈R)

よってIは単項イデアルである。

よって示された。

                                  (証明終)